<side 深青>


結局、和人はそのまま八雲邸にとどまることになった。らしい。

私は結果を伶から聞かされただけで、過程を知らないのだ。


一応実家には電話しているらしい。




「俺の本当の名前は珀仙 和人。実家は旧家だ。深青に言ったことがある養子という部分は嘘じゃない。俺は珀仙の本家の養子だ。本来ならあとを次ぐはずの従兄弟が出奔してしまって、急遽俺に白羽の矢が立った。」




八雲邸で当ての割れた和人自身の部屋で、伶と私に自分のことを話す。


知らなかったが、私の使っている以外の客室は普通にホテル見たいな部屋だった。なんで私の部屋だけあんなに乙女趣味なのか。


2人がけのソファーと、椅子付きのデスク、それからベッド。


なんともシンプルだ。