私は不服をうぅという自然と口から漏れたうめき声で訴えた。
すると伶が諦めたように説明を始めた。
「まず、佐野 和人は家がらみでトラブルを抱えていた。間違いないな?」
「…そうだ。俺は家が定めた学校から皇奏への編入をしようとしていた。」
そんなことは初耳だ。と今までの私なら口を挟んでいたがそんなことはしない。私だって学習する。
「君の実家は傍系の子供が本家の子供より上になることを良しとしない。なんらかの妨害工作があってもおかしくないと考えていた。」
「そうだ。少なくとも狂言誘拐ぐらいはすると思った。そういう家だ。」
「で、実際誘拐されたわけだ。当然自分がらみだと考えたがそうでもなさそうな気もしていた矢先に解放。で、いま確信したわけだ。」
「な、なるほど。」
なぜ伶が和人の編入計画を知っているのかとか和人も落ち着きすぎてやしないかといろいろツッコミどころもあるが一応は納得だ。
「美鶴はやっぱ殺されてたか。」
「ご想像通りね。あとは全くの他人が蠣崎 美鶴になりすまし神野と接触。まんまと事件に巻き込まれたわけだ。本当は俺も神野も関係ないのに。」


