私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―



「医者を呼んだ。じきにくる。」



私と和人の目の前に立って不機嫌にそう言い放った。


一体なんなんだろう。伶は確かにいつも愛想は良くないけど、機嫌が悪いわけではない。




「それで、君は佐野 和人で間違いないんだな?」


「ちょっと、伶、どうしたの?」




私がそう聞くと、伶はそっぽをむいて別に。と答えてきた。


いや、別にって。そんなわけない。おかしい。


私が不審に思っていると、和人が律儀に伶の質問に答えた。なぜかこちらもあまり機嫌が良くない。





「きみの言うとおり、俺は佐野 和人だ。深青とは高校の同級生。大学2年生の生物学部。残念ながら身分証明ができるものはない。」



「その必要はないな。君の身分証明書は君が車から降ろされた場所に落ちてた。おそらくわざと落として行ったんだろう。まぁ、予想通りといえば予想通りだな。」


「予想通り…?」




和人がわけがわからないといった感じで私を見る。


私はどこから説明しようか。そんなことを考えていると、伶がこたえた。至って不親切な内容で。




「諸事情があって佐野さんと佐野さんの恋人の行方を調べていた。そしたら死体やらなにやらが出てきてめんどくさいことになった。しかし察するに君は大してこの事件に関して関係ない。ならば簡単だ。殺されるか解放されるか。」