私は珍しく焦った顔で出てきた伶の指示で和人に付き添って指定された部屋で待った。
和人はなんとも言えない顔で私をみている。
当たり前だ。和人にとって伶は初対面だし、いきなりこんな豪邸に案内されたら誰だって驚く。
「和人、どこも痛くない?大丈夫?」
私はいたたまれなくて質問した。
和人はしばらく無言だったけど、諦めたかの様に口を開いた。
「縛られてた手首が痛いくらいでどうってことはない。」
「そっか。よかった。」
そかからは二人とも黙った。
そうしてると、高校時代に戻った気分になる。よくこうして2人で黙って一緒にいた。
「元気…みたいだな。」
口火をきったのは和人だった。


