<side 深青>
伶の機嫌が悪い。
今に始まった事ではないけれど、なんか、いつもと違う意味で機嫌が悪い。
なんていうか、あらさかま。私から目を逸らす。
いつもは分かりにくい。見分けられるのは私か、よっぽど伶と親しい人だ。まぁ、皆川さんとか。
「私、何かしたかなぁ…。」
私は学校からの帰り、馬鹿でかい屋敷の門めがけて歩いていた。
最初の頃は伶が車を迎えによこしていたけれど、恥ずかしいから辞退した。
だって、麻衣とかがうるさいし。
だから、歩き。
ゴールデンウィークは終わりを告げ、普通に学校に行かなくては行けない。
和人達を探すのは、週末になりそうだ。
気持ちは焦るけど、どうしようもない。
学生という身分がうらめしい。
そもそも週末までに伶の機嫌が治るのかと言われたら微妙だが。