昔ながらなちゃぶ台上に理想と言うべき朝ご飯。


伶は卵焼きに感動してしまったらしく固まってしまった。



どうだ。これが神野流卵焼き、元祖の味なんだから!


そりゃ伶の家のシェフのつくる料理も絶品だけど!




「深青ちゃん、本当に今日戻っちゃうの?まだ時間はあるんじゃない?」

「そうだぞ深青。ゆっくりしていけ。」


「たまってる宿題とか片付けたいの。ごめんね。」




私と伶は今日の夕方にここを出る。


それまでに調べられるところは調べないと。



せっかく帰って来たがあまり家にはいられない。

それが少し残念だ。


だけどそうは言ってられないのも事実。




「そう。仕方ないねぇ…邦果も仕事が仕事だからそうそう帰って来ないし…」




兄さんより曾孫が見たいだけなんでしょ。と軽口を言いながらおかずをつつく。



チラッと伶を見ると、彼は少し寂しげな顔をして私達を見ていた。



朝食中、ずっとその顔が離れなかった。