って、なんで伶と和人が重なるの!



そう考えて、1人で慌ててしまった。



私の本棚を見て、眉をしかめたり苦言を呈したりしなかったのは伶と和人だけだったからか。



決して2人は似てなんかいない。



和人は大人だったけど、あんなに嫌味男でもなかったし、なにより私には優しかった。



不器用な優しさ…




「…やっぱり、似てるのかな。」




ベッドの上で私は小さくそうつぶやいた。


そうかもしれない。


伶と和人は似ているかもしれない。



伶も和人も、歪で、わかりにくい、でも伝わってくる。そんな優しさを私に見せてくる。



だから、戸惑うのだ。



愛されなかったと言えば嘘になる。



兄も、祖父母も、そして、義父も、記憶にあまりない、自分を殺そうとした母からも、十分に愛されて来た。



ただそれを、素直に受け止められていないだけ。


だから、自分が嫌いだし、嫌いな自分に優しくされても戸惑うのだ。



伶と和人の違いは、たぶん私に対して抱いている感情が違うところか。



和人は、私を女として好きだった。


伶は、きっと…





そこまで考えて、プツリと意識が途絶えた。