伶、あなたは、私を狂わせてる。
長年決めて、守ってきたルールをことごとく破らせてるのよ。
意味、わかる?
「それでも俺は、神野を知りたいと思う。」
「…!?」
びっくりした。
伶はいつの間にか私のすぐ後ろにいて、身元でそう囁いた。
「君が、決めているルールだろうがなんだろうが、俺は容赦はしない。知りたいものは知る。
俺は君のテリトリーに踏み入る。」
伶はそれだけ言うと、私を追い越して下に降りていった。
私は呆然とそれを眺める。
テリトリーに踏み入る?
私の?
ルールは関係ない?
…まったく、呆れた人だ。
私はとっくに、伶に踏み入らせているというのに、伶はこれ以上を望むらしい。
「まいったなぁ…」
私は誰もいなくなった階段で、そうつぶやいた。


