<side 深青>



キキッと、車が私と伶の前に横付けされた。



続いて、ガチャッといささか乱暴にドアを開けて出て来たのはなんとも魅惑的なストッキングに包まれた脚。


それからグラマラスな身体―…




「深青ちゃんっ!会いたかったー!!」




その言葉と共に、私は酸欠にみまわれた。


抱き締められている。


それはわかる。


だが、彼女がもっているグラビアアイドル級の胸が苦しすぎる。



もうだめだ。



そう思った時、誰かに腕を掴まれ引っ張り出された。




「仕事してくださいね。今の貴女の雇主は俺なんですから。」




絶対零度がごとくの声色が響いた。



もうそろそろ半袖が必要な季節なはずなのにここだけ冷たいような気がするのはきのせいか。



私の腕を引っ張って救出してくれたのは伶だった。


それを那智ちゃんは面白くないという顔をして見ていて、一触即発かと思う時間が流れる。



…どうして私の周りってこんな感じの人ばっかなんだろう。



かなりの疑問だ。