俺はその写真を、じっくり観察した。


なにか仕掛けがないか、なにか―…書いていないか。



まぁ、あったわけだけれども。




「あれ、何これ。何語?」




と、呑気にお人好しが声をあげたが、俺は気にせずにその文章を読む。



日本語じゃない。


というか、どう考えても英語だ。


大丈夫か神野。


英語だぞ。


入試必須科目だぞ。


しかも君、工学部1年総代だろう。



俺が呆れた目で見ると、なによ。とふて腐れた顔をする。



大丈夫か工学部。



中学生でも訳せるぞこれは。





『My one and only lover』





冗談きついぞ佐野 和人。



写真にボールペンで書かれた、英語。




意味は、




「私の―…いや、僕の、唯一無二の恋人―…」





いったい、何を考えている。




佐野 和人―…!