「……ジェ…イ…ド……」



顔を見た瞬間、立ちあがって駆け出していた。

周りの驚きの目を気にしている余裕もなかった。

姿かたちも同じだが、何より魂の輝きがあれそれもの。

この私が間違えるはずがない。


私は何も考えず、あれに飛びついた。

飛びつくと同時にあれのにおいに包まれる。

やっと見つけた。やっと見つけた。やっと見つけた!!


「――やっと見つけた……、ジェイ――」





周りが茫然と見守る中、私はジェイドにさらに強くしがみ付く。

沙智子の予言も選択も正しかったのだ。

神の意志など関係ない。

運命を勝ち取ったのだ!


思わず緩むはずのない涙腺が緩みそうになった時、

――ふと、違和感に、気がついた。

あれが抱き返してくれていない

不審に思って見上げると困惑顔がそこにあった。


「……ジェイ?」


問いかけると、彼は困ったように答えた。


「あの、誰かと間違ってるんじゃないかな?
 それに……」

 ――――― キミハダレ? ―――――




どこかでガラスが割れた音が聞こえたような気がした。