ふと、背後に空間のねじれを感じたような気がした。

戦いなれたこの身体が無意識に反応する。


キン!


「ティス様!」


背後にいたのは侵略者。

いつの間に城内に侵入したのか。ここは結界が張られているはずなのに。

そう冷静に考えながら扱いなれた双剣をふるう。

やはり、赤ん坊1人分抱えているせいか、身体が重い。

気がつくと敵の数か増えている。

部下たちもそれらの対処に手いっぱいでこちらに近づいてくることができない。


私にとって身体が思うように動かないのは致命的だ。

男に力では敵わないことはわかっているので、私の利点はスピードと双剣による手数の多さだ。

だが、それも今の身体では思う様に力を発揮することができない。


「ちっ」


思わず舌打ちし、姿勢を低くし相手の懐へ入り込もうとした時、再び背後に気配を感じた。

――まずい

頭では冷静に考えながら、目の前の敵の腹に一撃を加え、重心を背後へやろうとした時。

身体のバランスが崩れた。


「――っく!」


せめて持ってかれるのは腕だけにしようと、右腕を背後へ振りかざした時――