風船が
ぷかぷか浮かんでる所を見て
うらやましがって
何度も地上を
けって飛び上がってみた
やっぱりダメだと思っていても
またやってみたくなる好奇心

自身の隣に
立つ桜が微笑み
散らす花びら
自分も散る時は
これに習って散ろうと思う

激しい春風が
風船や桜をなでてはやめる
わたがしをなめ
荒れ狂う湖で平泳ぎ

もうこんな空になっちゃった
ねえ、春風さん
なぜあなたは
そんなに乱暴なの?
命の源を探って行くと
あなたのように人の目では見えない
大きさをした物質にたどり着く

墨色のカーデガン背負い
真っ白なフリースをまとい
黄金色の口紅を付け
透明色のふわっとした感触

もう当たりはまっ暗
ねえ、春風さん
なぜあなたは
何もかも持って行ってしまうの?
私のとても大切な物なのに
軽々とすくって走り去ってしまう