その頃剣は

一人悶々と夜を過ごしていた。

「母ちゃんやら理華やらいるけど、なんとか奏美に告白するぞ!」

妄想タイムは果てしなく続き、やがて夢へと落ちていった。

夕方のビーチに奏美を呼び出して、二人で砂浜を歩く。

砂に足を取られて、転びそうになる奏美を剣がかっこよく支えた。

腰に回された手にドキドキしながら、奏美は潤む瞳で俺を見る。

「剣…私ずっと剣のこと…。」

「奏美…何も言わなくていいよ。わかってるから。」

俺はそれ以上奏美に言葉を続けさせないように、唇を…