夢にまで見た結婚式。

ようやく形が見えてきた。

まだロランの事は伏せられているものの、ミリーは覚悟を決めたし、王妃としてふさわしい女性になるため、あらゆる学問を学び直した。

魔法界の歴史も、王族の歴史も。

全ての準備が整いつつあった。


サランと奏美は城へ行く前にロランの家に寄った。

「ミリー!」

「奏美!いらっしゃい。王子もようこそおいで下さいました。」

王位継承を放棄するとわかっていても、まだ王子であることに変わりはない。
ミリーは失礼のないうように挨拶をした。

「もうじき王子じゃなくなるんだから、そんな挨拶はしなくてもいいよ。」

「いえ、まだ王子でいらっしゃいますから。」

ミリーはにこやかに微笑んだ。

「ロランもすぐ戻ると思いますわ。それまでこちらでお待ち頂けますか?」

「ありがとう、そうさせてもらうよ。」

サランが先にリビングに入ると、ミリーがそっと耳打ちしてきた。

「私たちって、義理の姉妹になるのよね?うふふ。」