星空のカーテンの下で待っていると、先輩はすぐにやってきた。

魔法界だから銀髪を揺らし、サラン王子として。

「ごめんね、待たせちゃったかな。」

「ううん、ちょっと前に来たばかり。」

「ミリーには悪いことをしたと思ってたけど、あの子はさすがだね。アランのことまですぐ決断をして。」

「うん、すごく強いと思った。私だったらオロオロして決断どころか…。」

奏美の肩が引き寄せられた。

「奏美は、僕の決断についてきてくれるよね?」

「はい…。」

「本当は王妃になりたかった?」

いたずらっぽく笑うその顔は、子供みたいだった。

「私は…王妃なんて…先輩の傍にいられればそれだけで十分です。」

「ありがとう、そう言ってくれると思っていたよ。」

その先の会話は続かない。

二人の影が重なって、しばらく離れることはなかった。