「奏美…。」

「はい…。」

いつもみたいに相葉さんって呼ばない。

「僕と結婚してくれるね?」

「…はい…。」

先輩の手が、奏美の頭を支えた。

反対の手で顎を引き寄せられると、銀髪が奏美の頬にかかると同時に、やわらかい唇の感触。

それがキスだとわかると、奏美はそっと瞳を閉じた。

やさしい触れるだけのキス。

奏美のファーストキス。

人間で言えば少し遅かったけど

大好きな沙欄先輩…サラン王子との…

暁方の月にはまだ程遠い月明かりが、二人を祝福するように照らしていた。