「ただいまー。」

「おかえりアン!なんとかしてくれ~~~。」

「はいはい。おいでナオミ、お腹空いたよね。」

ナオミはデイビスの腕からアンの腕へ移っただけで少し泣きやんだ。

「母親は偉大だな。」

デイビスは形無しだ。

「ごめんねデイビス。私がアンを連れだしたから。」

「いいんだよ。たまには息ぬきしないと、あれじゃアンだってかわいそうだよ。」

「優しいのね。」

「僕はアンにとっては王子様だからね。」

そう言って豪快に笑った。

王子様か…

奏美はアンの言葉を思い出して、今は何も考えないようにした。