軽くノックしてみる。

「どうぞ。」

中から先輩の声が聞こえた。

緊張の面持ちで、そっとドアノブに手を触れた。

案外軽く開いたドアの先に先輩がいた。

「いらっしゃい相葉さん。入学おめでとう。」

「あ、ありがとうございます。」

ドアを開けただけで中に入ることを忘れ、廊下からお辞儀をした。

「とりあえず入ったら?」

「え?あ、そうですよね。」

「そのワンピース素敵だね、よく似合っているよ。」

先輩に誉められたワンピースは、ミリーの結婚式で評判の良かったのと同じグリーン系だった。

本当はスーツにしようかどうしようか迷った。

お母さんと一緒にデパートに行って、いくつか候補を絞ったけれど、このワンピースの方が自分に合う色だった。

ちょっと高かったけどせっかくの入学式だからと、お母さんも奮発してくれたんだ。