Morning moon

ぼんやりと氷を見ていると、理華の声がした。

「ところで奏美はどうなってるの?先輩と。」

「へ?私?」

「お前沙欄先輩のこと好きなんだろ?」

理華と剣のダブル攻撃に撃沈した。

「私は別に…先輩とはそんな…。」

と言いながら、この間の『コートポケット事件』と『勘違いじゃないよ』発言、それと同時に『大切な人だから』の言葉を思い出していた。

微妙な表情の奏美を見て、理華は言葉を変えた。

「でも同じ学部なんだからさ、これからいっぱい一緒にいられるんじゃない?」

「あ、うーん…でも学年違うとやることも違うし、きっと思ってる以上に接点はないかもしれないなぁ。」

「奏美らしくない弱気な発言だなー、がんばれよ!」

「ありがとう…。」

溶けた氷が、グリーンのソーダの上に新たな層を形成してしまっていた。

先輩と王子、二人の言葉みたいに交わらない。

奏美はストローで層を壊して混ぜた。

いっそ混ざってしまえばいいのに、そんなことを思いながら。