(この展開ヤバすぎ…どうする?)

奏美がいらぬ妄想をした時、右手にすっと清涼感を感じた。

しかし、それはポケットから手が出されたんだと気づくまで、数秒を要した。

「短い時間でごめんね。僕はここで曲がるから。」

「あ…ああ、ごめんなさい気がつかなくて。」

「送っていきたいけど、僕もやらなきゃいけないレポートがあるんだ。」

「すいません、そんな忙しいのに私に付き合わせてしまって。」

「それは大丈夫だよ。相葉さんには、ちゃんと僕の後を追ってきて欲しいから。」

「なんか…もう先輩……いじわるです…そんなセリフ言われたら勘違いしますよ。」

「何を?」

(もしかして沙欄先輩って天然?)

「なんでもないです…今日はありがとうございました。」