剣も大会が終わってから、受験勉強に専念した。

高校生活最後の大会は、あと一つ勝てば代表になれるというところまで行った。

すごく惜しかった。

それでも学校始まって以来の快挙で、学校中が盛り上がった。

剣は自分が残した道筋を、しっかりと後輩たちに受け継いでもらう大演説会を終え、こうして気持ちを切り替え、勉強している。

夏を過ぎたあたりから、理華と剣の親密度が高くなり、二人で勉強する姿が図書館でちらほら見られた。

奏美は、なるべく二人の邪魔をしないように、こっそりと本を借りたりするのだが、たまに見つかってしまう。

「よう!奏美も勉強すっか?」

「ちょうど今ね、英語をやってたの。」

「あ、うん。ありがとう。でも今日は本だけ借りて家でやるよ。」

「そうか?遠慮すんなよ。」

「ううん、遠慮なんかじゃないってば。ありがと。」