そして奏美が乗るバス停まで、先輩は自転車を押して付き合ってくれた。

夕日が背中を押してくれる

このまま止まっていたい奏美の気持ちを無視して

そんな事を思っていたら、あっと言う間にバス停に到着してしまった。

「今日はありがとうございました。」

結局ケーキをごちそうしてもらった奏美は、深々と頭を下げた。

「いいえ、どういたしまして。かわいい後輩のためならこれくらいのことはしないとね。」

意味は違うとわかっていても、『かわいい』と言われて悪い気はしない。

「来年の桜が咲いたら、絶対先輩とまたシフォンケーキ食べに行きますね!」

「うん、待ってるよ。」

「はい!」

先輩は自転車で颯爽と行ってしまった。

奏美はあと15分、バスが来るまで有機化学の勉強をした。