奏美とは違う理華の真っすぐな気持ち。

今すぐ応えるのは、奏美から乗り換えたみたいで気がひける。

でも確実に剣の心に理華は入り込んで来ていた。

剣の態度が、少しづつ溶けてきて、自分の方に向きつつあることを理華も自覚していた。

奏美から奪ってやるとかじゃなく、自分の想いがいつか剣に届けばいい、それ以上は願わない、ただそれだけだった。

奏美とは少し距離を置いていた。

奏美のせいじゃない。

でも一緒にいると、剣が淋しく去った背中や想いを込めて歌った姿を思い出してしまう。
親友につらく当たってしまいそうな自分が嫌だった。


奏美の方も理華の気持ちを察してくれたのか、必要以上に近づいて来なくなった。

淋しいけれど、ありがたい。

やっぱり私の大切な友達。春が過ぎて、自分の心に余裕が出来たら、また前みたいに笑って話しをしよう。