「もっと自分に自信を持った方がいいよ。」

背後から優しい声が聞こえた。

「あの…あなたは…。」

「いずれ逢える時が来るまで名を明かすことは出来ないんだ。」

「それはいつ?」

「わからない。近い未来かもしれないし、遠い未来かもしれない。それも君次第だよ。」

「私次第…?」

「そう。わかったらもう顔をあげて、笑ってごらん。君の笑顔を待ってる人がたくさんいるはずだよ。」

「私の笑顔…。」

ふっと気配が消えると、奏美の身体の自由が戻った。

もう一度水面の顔を見て、奏美は笑顔を作ってみた。

「私次第で逢えるんだ…。」

なんだか少し心が軽くなった気がした。