Morning moon

「き・気のせいですよ!先輩!先輩こそ貧血とか大丈夫ですか?」

「少し疲れているのかな?倒れそうになる時って、周りがスローで見えたりするもんね。」

先輩はちっとも疲れているようには見えなくて、まるで私の必死の嘘に乗っかってくれてるように感じた。

「あはは…そうですよ。先輩忙しすぎですってば!せっかく夏休みなんだしゆっくりしましょうよ。」

「そうだね。僕は先にホテルに戻るよ。もし何かあったら僕の携帯に連絡して、これ番号とアドレス。」

「は…い…。」

沙欄先輩は、用意してあった紙を奏美に渡した。

震える手でそれを受け取る。