Morning moon

ほんの数十秒の出来事

なのに何時間も走り続けた気がした。

夢中で走り砂浜に戻ると、一つだけ動く影があった。

(誰?)

徐々に近づいてくるにつれ、正体がはっきりした。

それは沙欄先輩だった。

(え?先輩!?まさか…見られた…?)

奏美が動揺するのと同時に、全てのものが動きを開始した。

ぐったりする理華を抱える奏美を見て、沙欄先輩が駆け寄ってくる。

「大丈夫!?」

「はい、大丈夫です。ちょっと溺れそうになっただけです…。」

「とりあえず休んだ方がいい。」

先輩に促されて、救護所に向かった。