あれは、まだ蝉が鳴いている暑い夏の出来事。

私の名前は、『覇岾 未来 (ハヤマ ミク)』。

一応高校一年生。

でも周りからは年上に見られる……

物静かで落ち着きのある子とか、風の噂で聞いた事があったような気がする…


まぁ、私的にはそんな噂はどうでもいい事。


自己紹介はそれ位にして、私は今、むしょうに腹が立ってます。


何故かと言うと……


「ねぇねぇー、
あたし昨日、彼氏と久々にデートしたんだ〜!」

「良かったじゃん!!」


高々デートした位で報告すんじゃねーよ!

あーー、苛々する!!

只でさえ暑いのでも苛々するのに、さらに恋愛話しまでしやがって!


私の殺気に気付いたのか、親友の『捺晞 蒔(ナツカワ マキ)』が話し掛け悪そうに近寄って来た。


「み…未来?
いくら恋愛嫌いで苛々するからって、その殺気のオーラは止めてくれない…?
皆どん引きしてるから……(苦笑)」

「あぁ゛?(怒)」


「ビクッ!
ご…ごめん、何でもない」
びくついて蒔は其処から去って行った。

「ハァー……」
溜め息を吐くと何処からともなく、ヒソヒソ話が聞こえてきた。
別に聞く気はなかったのだが耳が離せなくなって聞き入ってしまった。

「ヒソヒソ
ねぇ、覇岾さんって顔は美人だけど、性格は凄くキツいよね…」

「うんうん。
何時も誰かが恋愛話しすると苛々モードになるし」

「でも、あたし的にはそのギャップが堪らないんだよねー!」

「だよね!
クールに見えて実は鬼畜!そんな人、そうそういないよ〜」

「いや……
1人だけいたよ…
見た目がクールで性格が……」


――…ガラッ

「早く席に着けよー!」

女子達の話をつい盗み聞きしていた私は、話の途中で終わってしまった事に少しだけ残念な気持ちになった。