その様子を察すると、男は説明?
いや、弁解を始めた。

「まさか、あなたが浮気疑ってるとは思わず、しかもあとをつけられてたとは思わなかったんですが」

夕菜ちゃんは、男が話すたび、
小さなため息をこぼす。

「これは本来、夕菜ちゃんからいったほうがいいとは思ったんですけど。」


「なんだよ?」


俺は先をせかした。

男と夕菜ちゃんはお互い確認するように頷いている。

「たまたま、前にアパートに、引っ越しのあいさつしたら、この子が出てきて、そのときはそれでおわったんですけど、まさかのバイトで、俺は最近入ったばかりの新人なんですが、偶然この子がそのバイト先にいて、それをきっかけに仲良くなったんです。」


「それで?」


「それでーーー。」

次の言葉を、
男は戸惑ってなかなかしゃべろうとしない。

いったいなにが勘違いなんだ?
このままの話だと、

単純に偶然引っ越した先のとなりに住んでる女の子がバイト先にいて、仲良くなったけど、
あとから俺とアパートでバッティング。まさかの彼氏持ち。って流れだとおもうが。

「夕菜ちゃん、
ここから先は夕菜ちゃんがいったほうがいいとおもうよ。」

男は夕菜ちゃんの肩を軽く押した。

夕菜ちゃんは、俺と目が合うと、すぐにそらした。