誘う手の群れ

あの洞窟には行かないほうがいい。

そう思うようになるが、その一方で洞窟内に箱のようなものがあるのか、ないのかその有無を確認しなければならないという気持ちも湧いてくる。

もし、洞窟内に人が乗れるような箱があるとすれば、夢にあらわれた祖母は自分自身の臆病風が生み出した夢ということになる。

それを放課後に確認しなければならないという気持ちが俄然として湧いてくる。

ホームルームを終えて帰宅時間になると昌人は夢月を伴って靴箱の前で輝彦と合流をした。

自転車を蹴って野島神社まで行くと、3人はそこに自転車を留めて山道を登って行った。

周囲は樹木に覆われて薄暗くひっそりとしている。

そして、しばらく進んだところに御宿穴を祀る鳥居が見えてきた。


「あれが例の洞窟だな?」


夢月が興味津々に言った。


「ああ、この前は洞窟の中、蟲だらけだったぜ、マジ気持ち悪いからよ。 さっさと探検しちまおうぜ」


輝彦が答えながらポケットの中から懐中電灯を取り出した。

昌人もそれに倣って懐中電灯を取り出す。


「ところで取手は懐中電灯持ってきたのか?」


輝彦が訊いた。


「ああ、小さいけれどいちおう持ってきたぜ」


そう言いながら夢月は親指ほどの太さの細長い懐中電灯をポケットの中から取り出した。


「まあ、ないよりはマシだな」


昌人が笑いながらそう言う。

3人は鳥居の前に立った。


「よし、行くか」


「行こう!」


誰彼とはなしにそう確認すると3人は御宿穴へと向かった。