しかし、現代の世になっては御宿穴の名の由来については知る者はいなかったが、この御宿穴で遊ぶことは町の老人たちや、親たちから固く禁じられていた。

なぜならば、御宿穴は横穴だけでも80メートルと長く、しかも右にカーブをして続いており、そこから一気に急勾配で下に続いていており、洞窟の全長はいったいどのくらいあるのかわからない危険な洞窟だったからである。

平成になった現代でも御宿穴は人の手が加わることなく自然の姿を残し、ひっそりと桑名昌人の住む町にたたずんでいた。