誘う手の群れ

翌日、昌人が学校に登校すると、さっそく御宿穴の老婆の話がうわさとなってクラスに広まっていた。

輝彦がさっそく御宿穴で幽霊を見たと話をしたのに尾ひれがついたのであった。

クラスメイトが昌人に詳しい話を聞こうと集まってくる。

中には若江輝彦の言う話はホラ話だと否定的なものもいたが、その真偽をただそうというのが昌人に対しての周囲の者の興味であった。

昌人はクラスメイトに洞窟で見た老婆について話をした。

中には明らかにホラ話だと疑いゲラゲラと嗤う者も少なくはなかったが、それでも真剣に昌人の話を聞いてくれる者もいた。


「ていうかさ、それっておかしな話じゃない? そもそも誰も手入れをしていないはずの洞窟がよ、足許とか普通に踏み固められた道っていうのもおかしいし、あの洞窟ってさ、本当は昔いつころかわからないけれど人工的に造られたトンネルなんじゃない?」


クラスメイトのひとりが言った。


「じゃあ出口はどこにあるんだ?」


また別のクラスメイトが言う。

結局、昌人の見た空中に浮かぶ老婆の話は忘れられ、クラスメイトの話題は御宿穴はいったい洞窟なのか、トンネルなのかという話になってしまった。

クラスメイトの誰もが祖父や、祖母たち、また両親から御宿穴で遊んではいけないと固く言われてきたものだから誰も御宿穴のことについては知る術がなかったからだった。

そうこうしているうちに授業開始のチャイムが鳴り、クラスメイトたちはそれぞれの席についた。