「香、それどうするの?」


香と呼ばれた子は、直ぐ隣にあった窓の枠へお守りをそっと置いた。




「こんなに古くまで持たれたって事は、それだけ大事にされてるんだよ。
持ち主も探してるだろうし、人に踏まれないように!

……持ち主に見つけてもらえるといいね!」



ニコッとお守りに向かって微笑んだ香という子は、もう一人と一緒にまた歩き出した。



俺は二人が去るまでその場から動けないでいた。




小さな事だったけど、俺は香という子の行動に心が温かくなった。

普通の微笑みだっただろうけど、その微笑みに胸が高まった。




俺はさっきまで二人がいたところへ行き、お守りを持った。



お前、優しい人に拾われて良かったな……



心の中でお守りに話していた。