―とある国―

魔王の宣戦布告から半年ほど経った頃、一人の青年が王様に呼ばれた。

「よく来た勇者よ。今また世界に魔王が君臨し、恐怖を人々にふりまいておる」

王様は青年が来るや否や早速用件を話だした。

「何を堅苦しい言葉で話てんの、親父」

青年は話の腰を折る。

「他の兵が見てるからお父さんも格好つけたいの!」

その発言に警護の兵達はちょっと引いていた。

そんな兵達の空気を払拭するように王様は咳払いをする。

「それより魔王を倒して来るのじゃ。わしが、このわしが七代目魔王を倒したから、八代目魔王が何処かで育っておるとは思ったが……こんなに早く現れるとはな」

青年は王様が軽く自慢しているように聞こえた。

いや、自慢だった。

「親父も歳だし、俺が行かないといけないかな。八代目魔王には用があるし」

青年は少し悲しそうな表情を浮かべながら、王様の用件を受け入れた。

(あの時の俺の予感がこんな形で当たるとは……皮肉なもんだな)

そんな表情を見て王様は心配したが、魔王は倒してもらわないと困るので激励で青年を見送った。

「アレン気をつけて魔王のところまでいくんじゃぞーお前ならやれる」

「分かってるよ。八代目魔王のとこには俺が行かなきゃ意味がない」

そう言ってアレンは魔王の元へ向かうため、旅に出た。