―後日―

アーサンは自室で日記を書いていた。

『ついに可愛い可愛いもえちゃんが魔王として世界に宣戦布告をした。まだまだ一緒に色んなことやりたかったけど、これもまた運命なんだろう。近い将来、そう……きっと遠くない未来にもえちゃんは勇者に倒されちゃう。なんとか僕がもえちゃんを守ろう。もえちゃんのためなら鬼にでもなってやる。運命は変えられるはず』

魔族のアーサンが有ろう事か『希望』を持っていた。
ちょっと動機が不純であるが、アーサンなりの魔王への『愛情』なのだろう。

日記はまだ続く。

『メイヤの様子が一年前から明らかにおかしい。明日、何があったのか聞いてみよう。もえちゃんの急変もメイヤが変わってから起きてるし、メイヤが鍵を握ってそうだ』

魔王教育に携わり、魔王が大好きで、魔王とメイヤと三人で過ごした十八年間をアーサンは振り返える。

「僕がしっかりしなきゃ」

いつになく、真剣なアーサンだった。