勇者博物館にやってきた。
ここは『伝説全集』に載っていた歴代勇者達が愛用した武器や防具、名場面を書いた絵等が飾っている。

魔王がこの修学旅行で見たかったものはここにあった。

「やはり似ておる」

魔王が見ていたのは歴代勇者の顔写真だった。

初代勇者の顔はアレンを少し老けさせた顔立ちだったのだ。

「夢に出てきた男の子はマーサの双子の兄弟なのだな……」

長い間写真を凝視していた。

周りには誰もいなくなっており、そんな魔王を置いて行った張本人の友達が先の方から呼んでいる。

「もえー置いてくよーそんなおっさんの写真ばっかり見てないで早くおいでー」

「分かった、すぐ行く」

最後に名残惜しそうに写真を見て友達の所へ駆け寄った。

「さてはあのおっさんの写真に惚れたな」

追いついてすぐ冷やかされた。
この年代の女の子は好いた、惚れたの話が大好きだ。

「ち、違う。決してそんなことはない」

冗談を受け流す余裕がない魔王は必死に否定した。

「うそー、まじで?」

ドツボだった。

友達の誤解を解くのに夜までかかった。

もちろん他の女子にも言いふらされた後に。



修得:確信