「結局、あれからもえちゃんやアレンを探したけど、何処にも居なかったね」

アーサンは過去を振り返る。

「そうだな。でも、今はこの子達がいるし……」

メイヤは腕の中で、男の子の位置を変えた。

「この子達がいるということは、あの時案外アーサンの言いつけを守らなかったのもしれないな」

メイヤはアーサンをからかう。

からかいながら、メイヤは魔王達の結末をなんとなく予想出来ていた。

「ねぇーねぇーあーしゃん。何のお話してるのー?」

ちょっと舌足らずな女の子は、アーサン達が何の事を話ているのか分からずに聞いた。

「僕も聞きたーい」

男の子も加わってきた。

「じゃあ、アダムとイブに昔話をしようかな」

アーサンが言うと、

「お前が出来るのか?」

メイヤがまたしても茶化す。

「これだけはね……」

アーサンは少し悲しそうな顔になったが、すぐ元に戻った。

「よく聞くんだよ。アダム、イブ。昔々、ある所に魔王と勇者が……」


神が子供達に与えた名前。

男の子にはアダム。

女の子にはイブ。

新たな始まりの象徴として……