魔王家

「一人は退屈じゃな」

アレンと二人の部下達が戦っている間、魔王は玉座の間で暇を持て余していた。

勇者がいつ来るか分からないので、だらしなく待つ訳にはいかない。

「アレンが来れば戦って、後世に残る台詞でも吐いて倒されればそれで終わりじゃ……」

魔王は目を閉じた。

その瞬間、何か意識の奔流のようなものが動めくのを感じた。

(何じゃ、まさかマーサか)

魔王の予想は苦しくも当たっていた。

しかし、何かを感じた程度で魔王に変化はない。

「一体今のは何じゃ……」

マーサの意図が分からない魔王。

「アーサン!どう……」

マーサの事を考えていたら、通路の方から男が歩いてきた。

「よぉ、もえ元気だったか?あっ、いけね、今は魔王って呼ばなきゃだな」

魔王がアーサンだと思ったその男は、アレンだった。

「アレン……久しぶりじゃな」

突然現れたアレンに少し動揺し、魔王は普通に返事をしてしまった。

「アレン、途中に二人もえの部下がいたはずじゃが会わなかったのか?」

あまりにアレンが疲れもしていないので、魔王は戦っていないのかと勘違いしていた。

「倒したぜ、二人とも」