魔王家

魔王はアーサンの宝箱の中身が自分のコレクションだとは思っていなかった。

むしろ卑隈なもののオンパレードで、勇者が大爆笑するくらいに思ってたのだ。

アーサンは今まで普通のコレクションをカモフラージュに、魔王のコレクションを大事に保存していたのだ。

思い出と共に。

「これは……そのままにしておくか」

アレンは宝箱の中身を、その場で見るだけに止め、そして戻した。

「こんないいもん見ちまったら、やりにくいな」

アレンは目的に揺らぎが出そうになったが、自分の使命を忘れるわけにはいかない。

「よし、行くか」

休憩もそこそこにアレンは地下通路の中へ入っていく。

長い長い地下通路。

「どこまで続いてるんだろうな」

奥に向かって歩くごとに、邪気とも怨念とも取れる負の感情がどんどん強くなってくる。

今まで七人の魔王が、この地下通路の奥にある玉座の間にて倒されてきた。

そういった負の感情が渦巻いているのは当然なのかもしれない。

「俺、歓迎されてるみたいね」

間もなくアーサン、メイヤのいる小部屋につくアレンは、自分に向けられる殺気に気づき警戒を強めた。

「魔王の前に誰かいるなこりゃ」

そして二人のいる小部屋についた。