ガラガラッ
よしっ!
ここなら誰もいない。
保健室には先生すらいなかった。

私の名前は、咲野 凛(サノ リン)。
私には2つの顔がある。
日向高校に通う地味な2年生、の顔。
flower事務所に所属するトップモデル、の顔がある。

モデルというだけでもメンドくさくなるので学校では地味~な姿で生活中。

三つ編みに黒渕メガネ、スカートは膝下。
模範な優等生を演じ続けてる私。

そのおかげで私に近づこうとする人はいない。

イジメられてないのが奇跡だ。
イジメられてはいないものの陰でこそこそ言う人はいる。
…気にしてないけど。

でも、私のホントの姿を見てどんな反応するのか気になる。

だけど、モデルは続けたいから我慢してます。

…つか。
早く衣装に着替えなきゃ~!

私は保健室の扉を閉めた。
ここは1階なので部活をしてる人達がいるから窓のカーテンも閉めた。

よし、これで着替えられる。

なぜ着替えるかって?
それは朝、マネージャーの玲(レイ)ちゃんからメールがきていたから。
〈ごめん、凛。今日は迎えに行くのが遅くなりそうだから学校で着替えといて。衣装はお母様に預けてあるから。よろしくね♪〉
…と。

まぢスか?
一瞬思った。
学校で着替えるって…バレたらヤバいんですけど。

…そして今に至るわけ。
まぁしゃーない。

メガネを取り、髪を結んでいたゴムを器用に外した。
首を左右に振り、髪を整えた。

制服のリボンをほどき、制服を脱いだ。

その時…

ガラガラッ
「!?」
扉が開く音がして慌ててバッと振り返った。