「……梅で」


『オッケー。

じゃあ、材料買ってきて隣のキッチンで作るから、それまで大人しく寝ててね』


ホテルのくせに、このスイートルームにはキッチンがついてるんだよね。

最初は無駄だなって思ってたけど、こんな時に役に立っちゃった。


「……作るって、まさかお前が?」


少し遅れて反応した遥。


『そうだけど?』


私が作ると聞いた途端、不安そうな顔をする。


口には出さないけど、“大丈夫なのか?”って顔をしている。


『まかせといて。

これでも料理はけっこう得意なんだから』


安心させるように言ってひらひらと手を振り、私は遥の部屋を後にした。