遥が着替えている間に、出来上がったおかずを盛ったお皿を手早く食卓に並べる。


まだ、かな……?


並べ終わってエプロンを外し、そのまま席に着いて遥を待つも、なかなか戻ってこない。



「ほら、お父さんだぞ?

今日も1日いい子にしてたか?」


『……ふふっ』


寝室に呼びに行って、開け放たれたままのドアの向こうから聞こえてくる声に頬を綻ばせた。


ベビーベッドで眠る愛娘に語りかける遥。

遥は娘にはかなり甘い。


吊り上り気味の目を細めて、いつになく優しげな表情を浮かべてまだ小さな赤ん坊の娘を見つめている。


いいなぁ、なんて。

我が子をちょっと羨ましく思ってしまう。



『あっ……、ご飯の用意出来たよ』


こちらを振り返った遥を見て慌てて首を振り、湧き上がった感情を霧散させて告げる。



「悪い、待たせたか」


『ううん、大丈夫』


玄関で出迎えた時をは違って、今度は二人並んでダイニングに向かった。