『どうかしたの、遥?』


「…………」


私の問いに遥は答えない。

代わりに視線をそらし、俯いて思いつめた顔をしていたかと思うと、パッと何かを決心したかのように顔を上げた。


バッ。

ブチブチブチッ。



勢いよくボタンが弾け跳ぶ。


彼は前を胸元から引き裂かれて見るも無惨な姿になったシャツをバサリと脱ぎ……。


「俺様のもボタン付けしろ!!」


と、声高らかに命令してきた。




『キャー!!

ちょっ、ちょっと、何やってんの、遥!!//』


急いで由依の後ろに隠れる。


「ハルちゃんご乱心!?☆」


なんて由依まで口の端にクリームつけたまま騒いでるし……。



「うっせぇ。

んなんじゃねーよ!!

あっ……暑かったんだよ!!//」


「だからってボタン全部引き千切っちゃうことないでしょ!?

シャツさんだって痛いって言ってるよ?

シャツさんに謝って!!☆」


「ハンッ、シャツが喋るわけねーだろ」


「喋るもん!!☆」


由依、確かにシャツは可哀想だけど、喋らないと思うよ?

それに私が言いたいのはそこじゃない……。


『遥の変態……//』

「変態だなぁ」

「変態だよ☆」

「露出狂……?」


「なんで俺様だけそうなんだよ!?

ックション!!」


斎賀邸に遥のくしゃみがこだました。




おしまい☆