『あれ?

清龍、シャツのボタンが取れてるよ?』



仕事の後、みんなで紫水の家を訪れ、ゆったりとお茶をしていた。


温かいアールグレイティーを飲み、ほっと息をついてカップをソーサーに戻す。

水面に映る自分の顔を見るともなしに眺めてから顔を上げた時。

清龍の胸元のボタンがないのに気付いた。



「あっ……ん……」


私の言葉を受けて清龍は相変わらず眠そうに首だけ動かして確認した後、頷く。


外れちゃったボタンは……。



『……あった』


キョロキョロと首を動かしあたりを見回すと、清龍がかけているソファーの横でボタンが照明の光を反射しているのが見えた。


席を立ち、近付いてしゃがみ込み、ボタンを拾う。

そのままの体勢で振り向き、言った。


『紫水、お裁縫道具を貸してもらえるかな?』


「ふふっ、いいよ」


軽く笑ってスッと音もなく立ち上がり、紫水は壁際に置かれた棚に近付く。