「う~ん、今日は何して遊ぼうかな?」


一人、家で暇を持て余していた少女・奏は呟きます。


「そういえば山の動物さんたちにしばらく会ってないなぁ……。

そうだ、お爺さんのお手伝いのためってことにすれば……」


一人で村の外を出歩くのは危険だと、お爺さんとお婆さんに止められていた奏。

しかし、大好きな動物たちに会いに行きたくてたまりません。

そこで奏は手伝いのために来たと言えばそう叱られることもないだろうと考えたのです。


山へ向かう奏は家を出てすぐに隣りの家に住む少年に声をかけられました。


「やあ、奏ちゃん。

どこへ行くんだい?」


「あっ、紫水くん。

え~とね、今からお爺さんの芝刈りを手伝いを手伝いに山へ行くの」


奏の答えを聞いた紫水は意味深に笑って、こう続けました。


「それ、面白そうだね」


……奏と一緒に山に行くのが。


「紫水くん、芝刈り好きなの?」


変わった人もいるものだと、目を丸くする奏。

紫水の言葉の裏に隠された真意に全く気づいていません。


「うん、まあ。

ついでにウチで調合する薬用に山菜を摘んできてもいいか……。

ねえ、僕も混ぜてよ」


こうして薬問屋の息子・紫水が無理やりパーティーに加わりました。