『今日どこ行く?』


普通に話しかければいいのだ、普通に。

やっと顔の火照りが引いて落ち着いた頃、至極当然な質問を遥にぶつけた。


「映画か館//」


『……映画館ね』


“映画”か“館”じゃないよ。

遥が噛んだせいで、“か”が一回多かったの。

何、“えいがかかん”って?


「予定より早いけど行くか?」


『うん』


早く着いたら他のお店で時間つぶしてればいいし。


遥の問いに首肯し、一歩足を踏み出す。


ガシッ。


『うわっ、ちょっと、何!?』


途端に腕をつかまれた。


二の腕はあんまりつかまないでほしいんだけどな。

コート着てるおかげで、プニプニ感は誤魔化せてると思うけど。


「……手//」


『……手?

私の手に何か付いてる?』


眼前にかざし、手をパタパタと動かして確認するが、どこにも異変はない。


言い渋る遥の顔を見つめ数秒後。