『そういえば、紫水はネイルアートに興味があるの?』


相変わらず用意の良い紫水はすでに部屋に道具を揃えていた。

これだけあれば本格的なものができるだろう。

ここまで張り切るなんて普通じゃない。

興味があって、自分もやってみたかったとしか……。


「気持ち悪いこと言うなよ」


『……っ!?』


急に吹き荒れたブリザード。

それに……口調が!?


今の今まで失念していた。

この人、自分の城(部屋)の中では口調が変わるんだった。



『じゃ、じゃあどうしてそんなに張り切ってるの?

人が爪の手入れをしているところを見ても、面白くないと思うよ?』


「だろうな」


えっ?


苦し紛れに言った言葉に紫水が頷き、驚いた。


見てるの面白くないんだよね?

なのになんでわざわざ見るの?


娯楽と快楽の狭間で生きている紫水には似つかわしくない行動だよね?