それは冬休みのある日のこと。


『う~ん』


「どうしたの、光?」


『はぎゃっ!!』


事務所でのダンスレッスンが終わった後、一人更衣室で唸っていると、突然背後から声をかけられた。


『なっ、なんだ、紫水か~』


後ろを振り向き、声の主の姿を確認して胸を撫で下ろした。


私はまたてっきりお化けかと……。


「何、僕じゃ不満なの?」


『べっ、別にそんなことはない……と思うけど』


なんか紫水、機嫌悪い?


他愛もない質問も紫水に問い詰められると、思わずたじろいでしまう。


だって、眉間にシワが寄ってるんだもん!!

いつも笑っている美人の怒った顔は想像以上に怖い。

いや、紫水は男の子だし、笑ってても怖い時あるけどさ。



「ふ~ん」


『ごめんね、ちょっと考え事に夢中になってたから、びっくりしちゃっただけだよ』


未だ不機嫌な紫水に慌てて弁解すると、やっとほんの少し表情が和らいだ。


良かった~。