「次は由依、君でいいかな?」


確認する紫水に対し、


「うん、しーちゃんの後だと僕のがちゃんと審査してもらえなくなりそうで嫌だもんっ☆」


と、由依は肯定する。


そりゃそうだよね……。



「ジャジャ~ンッ☆」


自ら発した効果音とともに由依が披露したのは一点ものの大皿スイーツらしかった。

らしかったというのは……。


「見た目がおそろしく悪いね」

「グチャグチャだな」


そう、由依のスイーツは海晴、橙悟の言葉通り、見た目がおそろしく悪く、グチャグチャだった。


調理中に垣間見たタイヤほどもあるドーナッツ(推定)を土台に、和洋折衷の色々なお菓子がごた混ぜに盛られていた。


由依らしい。

それに、ある意味豪華だ。


「うわっ、何これ。

甘過ぎ……」


「出来れば全部別々に食べたいな」


「……ひどい」


あまりに激しいインパクトを与えた見た目に食べる気も失せた様子で、真ん中の方に刺さっていたクッキーをひと口だけ食べて由依の審査を終えた三人だった。