授業も終わり、下校前の掃除の時間になった。
教室にはケンタしか友達がいなかったので、同じ班の人たちとは行動せず。
とりあえずケンタと一緒にいた。

「ケンタッキー、どこの掃除?」

「教室だよ。」

「偉いね、ちゃんと掃除するんだね〜
手伝ってあげようか?」

「いいよ、同じ班の子の掃除手伝ってあげろよ!」

「なんだっ、オマエ、友達に対して、その態度は!
そんな子に育てた覚えは・・・お母さん・・・」


「お母さんじゃねぇし・・・マコトいいから手伝ってきな?」


「なんだよっ、まともな事ばっか言いやがって!
で、俺の班って何処にいるの?」

「美術室だよ!なかよくやりな!」


「うっせ〜しっ、ケンタッキーなんて嫌いだし、じゃあね・・・」


そう言いつつ、素直に従うマコトを見て、ケンタは何故か嬉しそうだった。

マコトが美術室に向かうと、隣に座ってた真面目女子が流しを洗っていた。

とりあえず、突っ立っているわけにもいかないのでマコトは話しかけた。

「なんか、手伝う事ある?」


「あっ・・・じゃあぁ〜、ここやってもらってもいい?」


「ここ、水で流せばいいの?」


「ちがう・・・カネヨンかけてぇ〜・・・金ダワシで磨いて」


「わかった・・・」

お掃除セットを渡し、簡単な説明を終えると、真面目女子は違う持ち場に行ってしまった。

(すげえ、話しづらそうだったな・・・)

真面目の子とは、会話が成り立たない。
すごい難しい事を言って、こっちがわからなそうな表情をすると悦に入るようなやつがいたから、真面目なやつはみんなそうだと思ってた。

(みそっかすな〜わた〜しは、た〜わ〜し持ってゴシゴシ、ゴシ!)

少しでもふざけた感じでやらないと、マコトは自分じゃない気がしていた。


(こんなに綺麗なのにね。)


(掃除する必要があるのだろうか?)

(なぜ、流しを掃除するかだって?)

(そこに流しがあるからさ・・・)